赤ちゃんの疾患
赤ちゃんのよくある症状
生後すぐのお子さまの様子を見ていて「これって大丈夫?」と心配になることもあるかもしれません。
気になる症状に大きな病気が隠れていたり、早めに治療しなければ成長してから治療期間が長くなったりする場合もあります。
重症化したり、治療が遅れたりしないためにも、生まれて間もないお子さまに何か気になる症状や様子があれば早めに小児科へご相談ください。
おむつかぶれ
新生児・乳児期に起こりやすい症状で、おむつとの摩擦やおむつの中の湿度が高い状態が続くと、おしりが赤くなったりただれたりします。
<主な原因>
・おしっこやうんちの刺激
・おむつが濡れた状態での長時間の着用
・肌の乾燥不足 など
<自宅でのケア>
おむつ替えをこまめに行いましょう。
おむつ替えの際には、刺激の少ないおしりふきで拭き取り、可能であれば少し時間をおいて肌を乾かすと効果的です。肌を乾かした後は保湿剤を塗布し乾燥のしすぎを防ぎます。
ただれが広がる、痛みや熱感がある、膿が出るといった場合は早めに小児科を受診しましょう。
軽症の場合も、重症化を防ぐために自己判断で薬を使わず小児科へご相談ください。
肌荒れ
発疹や湿疹、かぶれなど、赤みやかゆみを伴う皮膚のトラブルです。
<主な原因>
・空気の乾燥
・ボディーソープやおしりふきの刺激
・衣類素材の刺激
・汗
・アレルギー
<自宅でのケア>
入浴の際は刺激の少ないボディーソープをたっぷりと泡立て、優しく洗いましょう。
衣類は柔らかい素材を選び、袖口やお腹周りなどの締め付けが緩いものを選ぶのもポイントです。
当院では自宅での正しいスキンケアの方法をお伝えしています。
お肌の乾燥や赤みが気になるなどがあれば、お気軽にご相談ください。
でべそ(臍ヘルニア)
へその緒を通じて母体と繋がっていた部分が塞がりきらず、そこから腹部の臓器や水が飛び出て、おへそが外側に出て見える状態です。
成長とともに改善することもありますが、治療が必要なものの場合は生後1か月~2か月で治療を開始する必要があります。
でべそは病気ではありませんが、1歳を過ぎても治らない場合は手術が必要になることもあるため、「でべそかな?」と感じたらまずはご相談ください。
うんちの色
赤ちゃんのうんちの色は黄色~黄褐色が正常な色です。まれに食事や薬の影響で緑色のうんちになることがあります。
<注意が必要なうんちの色>
白色・灰色:胆道閉鎖症の可能性あり
赤色:血液が混ざっている可能性あり
黒色:上部消化管出血の可能性あり
小児科を受診する際には、色だけでなく形状・匂い・回数・腹痛の有無もメモしておきましょう。
便秘
便通が少ないだけでなく、便の量が少ない、便が硬くて出にくい、排便時に痛がるなども便秘の症状です。
生後1か月前後では、液体のような便が出ることもありますが、体重が順調に増加していれば問題ありません。また、母乳栄養児の場合は排便が7~10日に1回となる場合もあります。お腹の張りや哺乳力の低下、不機嫌などがなければ大丈夫です。
排便回数や便の状態で心配なことがあれば、お気軽にご相談ください。
頭のかたち
赤ちゃんの頭のゆがみには、頭蓋骨早期癒合症という病的要因のものと、向き癖などによる外的要因のものがあります。
<ゆがみの種類>
・斜頭症:頭頂部から見ると平行四辺形に見える
寝るときに向き癖がある赤ちゃんに多く見られる
・短頭症:頭の前後の長さが通常より短い 「絶壁」と表現される
あおむけ寝の時間が長い赤ちゃんに多く見られる
・長頭症:頭の前後の長さが横幅よりも長い
横向きの姿勢が多い赤ちゃん、NICUに長く入院した赤ちゃんに多く見られる
<治療方法>
・体位変換
頭にかかる圧力を左右均等にするために、向き癖を改善します。
授乳時の方向や話しかける方向、おもちゃの位置などを定期的に変えて左右のバランスがよくなるようにしましょう。背中に丸めたタオルを置いて向き癖の方向と逆になるようにするのも効果的です。
・タミータイム
赤ちゃんが起きている間にうつ伏せで過ごします。窒息を防ぐため、うつ伏せにするのは必ず保護者が見ている間のみにしましょう。
上半身の筋肉が発達すると、赤ちゃんの頭の特定の箇所に圧力がかかることを防げます。
1回1~2分から開始し、1日合計30分以上を目標に行いましょう。
頭のゆがみを治すために、ヘルメット治療を行う場合もあります。
頭の形が気になる場合はまずはご相談ください。治療が必要かどうか、どのような治療を行うかお子さまにあった方法をお伝えいたします。
股関節のずれ
赤ちゃんの足は、О脚でM字に開いている状態が正常ですが、股関節に悪い習慣を続けていると徐々に股関節がずれて脱臼が進んでしまいます。
股関節の動きが左右で異なる、足の長さが左右で異なる、足を広げると痛がるなどがあれば先天性股関節脱臼という股関節がずれる病気かもしれません。
<股関節に悪い習慣>
・おむつの位置が低く股関節に食い込んでいる
・おくるみや厚手の衣類で股関節の動きを制限している
・下肢をまっすぐに伸ばす
「先天性」とついていますが、生後の習慣など後天的な要素が原因の多くを占めています。上記に加えて、長時間の横抱きやスリングの使用は足が伸び、股関節が閉じた状態になるため注意が必要です。
1歳以降で脱臼と診断された場合の治療には入院が必要となります。
生後半年までの発見で入院が必要な治療のほとんどが回避できるため、左右の足の長さが違う、股関節の動きが左右対称でないなど、少しでも気になる点があれば、乳幼児健診を待たずに小児科へご相談ください。
